ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた「小さな幽霊星雲」 | アストロピクス

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ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた「小さな幽霊星雲」

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた惑星状星雲NGC 6369。「小さな幽霊(Little Ghost)星雲」とも呼ばれるこの天体は、おひつじ座の方向、約2000〜5000光年の距離にあると推定されています。

太陽程度の質量の星は、晩年になると膨張して赤色巨星になります。やがて赤色巨星の外層のガスが宇宙空間に放出されます。周りに広がったガスが、中央の星の「芯」からの紫外線を受けて輝くようになったものが惑星状星雲です。小さな望遠鏡で見ると惑星に似ていたことから、そのように名付けられました。

NGC 6369では、中央に残された星の「芯」から大量の紫外線が放出されています。直径1光年ほどの青緑色のリングは、高エネルギーの紫外線が、ガス中の原子から電子を奪っている(電離している)場所を示しています。星から遠い赤みがかった領域では紫外線がそれほど強くないため、電離のプロセスはあまり進んでいません。

星雲の色の違いは、組成の違いをあらわしています。青緑のリングは、電離して電子を2つ失った酸素原子からの光(青)と、電子を1つ失った水素原子からの光(緑)からなります。赤は、電子を1つ失った窒素原子からの光です。

Image Credit: NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)

(参照)Hubblesite