1181年に観測された超新星の対応天体が判明

今から840年ほど前の1181年、夜空に明るく輝く超新星が出現したことが、中国や日本の記録に残されています。超新星は当時「客星」と呼ばれ、日本では藤原定家の『明月記』などに記録が残っています。

同じく『明月記』に記録が残る1054年の超新星(SN 1054)は、現在では超新星残骸の「かに星雲(M1)」となっていることが知られています。しかし1181年の超新星(SN 1181)は、過去1000年で記録が残っている超新星の中で唯一、対応する天体が判明していませんでした。

香港大学の研究者らの国際的な研究チームは、SN 1181の対応天体が、2017年に発見されたウォルフ・ライエ星「パーカーの星(Parker’s star)」であるとする研究を発表しました。その星の周囲には「Pa30」と呼ばれる星雲が存在しています。

パーカーの星を取り巻く星雲Pa30の擬似カラー画像。赤外線や紫外線、可視光の波長のデータから作成された画像で、いずれも縮尺が同じになっています。天体までの距離は7500光年と見られており、その距離では天球上の45秒角(45 arcsec)が10万天文単位(au)に相当します。1天文単位は太陽〜地球間に相当する距離で約1億5000万km。画像はマンチェスター大学のプレスリリースより。

研究チームは、Pa30が秒速1100km以上の速度で膨張していることを発見し、その速度から爆発した年代を導き出しました。また天体の位置や、約6か月間にわたり見えていたことなど、さまざまな情報を総合し、パーカーの星がSN 1181の対応天体であることを突き止めたとしています。

パーカーの星とPa30は、2つの白色矮星が合体してできたと提案されています。このような現象は、「Iax型超新星」という、比較的暗い珍しいタイプの超新星爆発を引き起こすと考えられています。SN 1181は残骸の星と星雲の詳細な研究が可能な唯一の天体であり、歴史的にも科学的にも非常に興味深い天体となっています。

(参照)香港大学The University of Manchester