WISEが赤外線でとらえた星雲IC 2944の塵の輝き | アストロピクス

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WISEが赤外線でとらえた星雲IC 2944の塵の輝き

この画像に映っているのは、NASA(アメリカ航空宇宙局)の赤外線天文衛星WISEがとらえた星雲IC 2944です。IC 2944は「ケンタウルス座ラムダ星星雲」とも呼ばれ、また「走るニワトリ星雲」という別名ももってます。

IC 2944は地球から約5800光年の距離にあり、約800万年前に形成された新しい星団が存在しています。星団の中で最も高温の星々は紫外線によって星雲のガスを電離し、また強烈な星風によって星雲を吹き払います。

電離したガスは可視光で輝きます。赤外線で見ると、星からの紫外線で温められた星雲中の塵が映ります。赤く映る塵は画像内で最も低温の物質で、重元素の塵粒子で構成されています。緑色の部分はスモッグ状の物質で構成された温かい塵粒子です。

画像中央付近にみられる緑色のリング状の構造は差し渡し77光年ほどあります。この構造は星団内の星々の星風によって形成されたものです。

「ケンタウルス座ラムダ星星雲」の名は、この星雲がケンタウルス座ラムダ星を取り巻くように見えることから付けられました。画像の右上に青く見える明るい2つの星のうち、より暗い方の星がケンタウルス座ラムダ星です。ただ実際にはこの星は地球から約410光年の距離にある青色巨星で、星雲よりもかなり地球に近いところにあって星雲とは無関係な星です。

この画像は、3.4μm、4.6μm、12μm、22μmという赤外線の4つの波長で撮った画像を、青、シアン、緑、赤に割り当てて色合成した疑似カラー画像です。青とシアンは主に星からの光を、緑と赤は主に塵からの光を示しています。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/WISE Team

(参照)WISE