木星探査機JUICE、地球・月でのフライバイに向け43分間のメインエンジン燃焼を実施 | アストロピクス

木星探査機JUICE、地球・月でのフライバイに向け43分間のメインエンジン燃焼を実施

フライバイに向け地球に接近するJUICEの想像図。Image Credit: ESA/Lightcurve Films/R. Andres
フライバイに向け地球に接近するJUICEの想像図。Image Credit: ESA/Lightcurve Films/R. Andres

2023年4月14日に打ち上げられ、木星を目指して航行を続ける木星氷衛星探査機JUICE(Jupiter Icy Moons Explorer)。JUICEは木星とその氷衛星を調べる探査計画で、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)が主導し、日本やアメリカ、イスラエルが参加しています。

そのJUICEで11月17日(日本時間18日)、来年2024年8月の地球-月系でのフライバイに向けた軌道修正が行われました。今回の軌道修正では、約43分間にわたり探査機のメインエンジンを燃焼。打ち上げ時に搭載していた燃料(3650kg)のほぼ10%に相当する363kgの燃料を消費しました。それによりJUICEの速度が秒速200m変化したとのことです。

地球-月系のフライバイに向けた軌道修正は、2段階に分けて行われます。今回はその1回目で、JUICEの軌道を分析したのち、数週間後に2回目となる小規模な軌道修正を行うことになっています。なお最終的な微調整が、地球に接近中の2024年5月に実施される可能性があります。

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次のメインエンジンの使用は木星周回軌道への投入時

JUICEは2024年8月に地球-月系でのフライバイを行ったあと、2025年に金星、2026年と29年に地球でフライバイを行う予定です。そして2031年7月に木星の周回軌道に投入されます。今回の軌道修正がうまくいけば、木星の周回軌道に入るまでメインエンジンを再び使用する必要はなくなるとのことです。

衛星ガニメデに接近して木星系に入ってから13時間後に、JUICEは秒速約1kmの減速を行う必要があります。これは今回の速度変化の5倍にもなります。今回の軌道修正は、木星軌道投入に向けた重要なテストの側面もありました。

(参考記事)木星氷衛星探査計画「JUICE」 打ち上げ後の予定は? 何を探査する?

(参照)ESA