ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた宝石のリング その正体は……

この画像は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえたものです。まるで宝石の指輪のような形状をしている天体が映っています。指輪の正体は、60億光年の彼方にあるクエーサーです。

銀河など質量の大きな天体があると、その天体のまわりの空間が歪みます。その影響で奥にある天体からの光が曲がり、天体の像が歪んだり明るくなったり、また拡大されて見えたりします。そのような現象は「重力レンズ」と呼ばれます。

重力レンズのしくみ。Image Credit: NASA, ESA, and D. Player (STScI)
重力レンズのしくみ。Image Credit: NASA, ESA, and D. Player (STScI)

画像に映るリングの中央に、青い小さな点が映っています。それは楕円銀河です。その楕円銀河の重力レンズ効果によって、クエーサーの像が弧状に広がり、また複数に分かれて見えているのです。リングの上側にある明るく輝く3つの点が目立っていますが、それらとともに、リングの下側に見えるやや暗い点もクエーサーの像です。

画像は、ダークマター(暗黒物質)を研究するための観測プログラムの一環で、ウェッブ望遠鏡のMIRI(中間赤外線装置)で撮影されました。

ウェッブ望遠鏡のウェブページでは毎月、「Picture of the Month(今月の1枚)」の画像を公開しています。今回紹介した画像は2024年7月5日にPicture of the Monthとして掲載されたものです。

Main Image Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, A. Nierenberg

(参考)ウェッブ望遠鏡Picture of the Month

(参照)ESA/Webb