
この画像には、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた原始星IRAS 04302+2247(略してIRAS 04302)を取り囲むガスと塵の円盤や、その周囲の星雲が映っています。地球から約525光年離れたところにあるIRAS 04302は、おうし座の星形成領域の暗黒星雲内に存在しています。
星は低温の巨大なガス雲の中で誕生します。生まれたばかりの星は、惑星形成の場である原始惑星系円盤に取り囲まれています。この画像で、明るい領域を二分するように暗い筋が見えますが、それがIRAS 04302の周りにある原始惑星系円盤です。地球からは円盤を真横から見ているため、円盤が星の光をさえぎり、暗く直線状に見えているのです。ウェッブ望遠鏡の観測から、円盤の幅は約650億kmとみられています。
愛称は「バタフライスター」
中心の原始星の光がさえぎられたことで、円盤の左右にある淡い星雲もとらえられました。この星雲は、中心の原始星の光が星雲の物質に反射することで輝いています。左右に広がる星雲の外観から、IRAS 04302は「バタフライスター」という愛称がつけられてるとのことです。
この画像は、ウェッブ望遠鏡のNIRCam(近赤外線カメラ)とMIRI(中間赤外線装置)、そしてハッブル宇宙望遠鏡の光学データを組み合わせたものです。ウェッブ望遠鏡は微小な塵粒子の分布と、円盤から遠方まで広がる塵が反射する近赤外線をとらえています。ハッブル望遠鏡の画像には塵の帯などが映し出されています。

こちらはIRAS 04302のクローズアップです。ウェブ望遠鏡とハッブル望遠鏡に加え、アルマ望遠鏡のデータも組み合わせたものです。
ウェッブ望遠鏡のウェブページでは毎月、「Picture of the Month(今月の1枚)」の画像を公開しています。今回紹介した画像は2025年8月1日にPicture of the Monthとして掲載されたものです。
(参考)「ウェッブ望遠鏡Picture of the Month」記事一覧
Image Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, M. Villenave et al.
(参照)ESA/Webb