ウェッブ望遠鏡、初期の宇宙網の「糸」を観測 | アストロピクス

ウェッブ望遠鏡、初期の宇宙網の「糸」を観測

広大な宇宙で銀河はランダムに散在している訳ではありません。宇宙には銀河がフィラメント(糸)状に集まっているところもあれば、逆に銀河が存在しない「ボイド」と呼ばれる空洞の領域もあります。コズミック・ウェブ(cosmic web、宇宙網)と呼ばれるそのような構造は、宇宙が誕生した当初はぼんやりしたものでしたが、時間の経過とともに重力が物質を引き寄せるにつれてよりはっきりしたものになっていきました。

今回、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測によって、宇宙誕生からわずか8億3000万年後に存在していた10個の銀河が、フィラメント状に並んでいることが発見されました。冒頭の画像は、ウェッブ望遠鏡のNIRCam(近赤外線カメラ)で撮影したもので、8つの白い円は、10個の銀河の位置を示したものです(2つの円内には複数の銀河が含まれています)。

これら10個の銀河では、クエーサーが明るく輝いています。クエーサーの正体は、銀河中心にある活動的な超大質量ブラックホールで、ブラックホールに物質が落ち込んでいく際に、銀河全体を凌駕するほどに明るく輝きます。今回発見されたような、初期宇宙のフィラメントは、最終的に大規模な銀河団に進化すると見られています。

Image Credit: NASA, ESA, CSA, F. Wang (University of Arizona)

(参照)Webb Space TelescopeESA/Webb