市民天文学者による衝突銀河の分類結果を解析し銀河の謎に迫る | アストロピクス

市民天文学者による衝突銀河の分類結果を解析し銀河の謎に迫る

すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ「HSC(Hyper Suprime-Cam)」がとらえた画像を元に、市民天文学者が合体中の銀河を見つけてその形を分類するプロジェクト「GALAXY CRUISE(ギャラクシークルーズ)」による成果が論文として発表されました。

GALAXY CRUISEで市民天文学者が見つけた渦巻銀河。Image Credit: 国立天文台
GALAXY CRUISEで市民天文学者が見つけた渦巻銀河。Image Credit: 国立天文台

赤っぽい楕円銀河、青い渦巻銀河、形の崩れた銀河……。宇宙には多種多様な銀河が存在しています。広い視野で宇宙を撮影できる、すばる望遠鏡のHSCがとらえた画像には、そのような銀河が無数ともいえるほど映し出されています。

GALAXY CRUISEは、国立天文台が2019年11月にスタートしたプロジェクトです。そこから2022年4月までの2年半の間に、約1万人の市民天文学者の協力により、200万件を超える分類結果が集まりました。その分類結果を、国立天文台ハワイ観測所の田中賢幸准教授らが解析しました。

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衝突銀河では星形成や超巨大ブラックホールが活発に

Image Credit: 国立天文台
Image Credit: 国立天文台

この画像に映る銀河はいずれも、激しい合体の瞬間にあるものです。銀河同士が衝突・合体すると、形がゆがんだり、銀河の周囲に特徴的な形が見えることがあります。HSCによる高感度・高解像度の画像では、従来見つかっていなかった衝突・合体の淡い痕跡まで見つけることが可能になりました。さらに市民科学者の分類を使い発見されたのが、画像にあるような激しく合体している現場です。

解析の結果、衝突・合体している銀河では星形成活動が活発になっていること、さらに銀河中心の超巨大ブラックホールの活動性が高まっていることが示されたとのことです。

(参照)すばる望遠鏡国立天文台

(論文)Galaxy Cruise: Deep Insights into Interacting Galaxies in the Local Universe