星形成の最盛期、約100億年前の銀河のガスをアルマ望遠鏡がとらえた | アストロピクス

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星形成の最盛期、約100億年前の銀河のガスをアルマ望遠鏡がとらえた

「ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド(HUDF)」と呼ばれる空の領域が、アルマ望遠鏡で広範囲に観測されました。HUDFとは、ろ座の方角にある一角で、ハッブル宇宙望遠鏡によって観測され深宇宙にある多数の銀河が映し出された領域です。

上の画像は、左がハッブル宇宙望遠鏡が撮影したHUDFの画像で、右がアルマ望遠鏡がとらえたHUDFの画像です。アルマ望遠鏡は、主に銀河に含まれる一酸化炭素分子ガスからの電波をとらえました。

アルマ望遠鏡の観測では、宇宙で星が最も活発に形成されていた時代に相当する、100億年前の宇宙にある銀河が調べられました。その結果、大量のガスや塵を持つとは思われていなかった銀河においても、ガスと塵の存在が確認されました。さらに、星形成が活発な銀河では、星の総質量よりもガスの総質量のほうが10倍も大きいことが判明しました。現在の宇宙では、銀河は分子ガスよりも星のほうが大きな割合を占めています。それと比べると、星形成の最盛期にある銀河は非常に大量のガスを持っているのです。

また研究チームが以前作成していた銀河の3次元地図をもとに、銀河が存在する場所のアルマ望遠鏡のデータを重ね合わせることによって、星質量が小さな銀河においても分子ガスを検出することに成功しました。

それにより、天の川銀河の10分の1程度の小さな銀河では、星が多くなってもガスはそれほど減らないことが分かりました。大質量の銀河では、星質量が大きくなるほどガス質量が急激に小さくなります。小さな銀河は、大質量銀河とは異なる傾向を持っていることが分かったのです。このような傾向が遠い宇宙で確認されたのは初めてです。このことは、宇宙ではありふれた存在である小さな銀河が、大質量銀河とは異なる形成過程を持つ可能性を示唆しています。

Image Credit: STScI, Gonzalez-Lopez et al. 2020

(参照)アルマ望遠鏡