球状星団の形成期に存在した超巨大モンスター星の痕跡をとらえた!?

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた球状星団M13。Image Credit: ESA/Hubble and NASA
ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた球状星団M13。Image Credit: ESA/Hubble and NASA

球状星団は、数万〜数百万個の星が球状に集まった星団で、あらゆる種類の銀河に存在しています。年齢は100億〜130億歳と、非常に古い星団です。

その球状星団には、構成する星々の組成に関する謎があります。球状星団を構成する星々は同時に形成されたと考えられています。それにもかかわらず、たとえば酸素、窒素、ナトリウム、アルミニウムの割合が星ごとに異なっているのです。

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超大質量星が形成中の球状星団を汚染した!?

球状星団にかつて存在していた超大質量星が、星団の形成中にガス雲を「汚染」したため、星々の化学組成が不均一になったとする理論モデルが、2018年に発表されました。その超大質量星は、太陽の5000〜1万倍の質量をもち、中心部の温度は7500万度と太陽の5倍も高温だったとみられています。

恒星は質量が大きいほど、燃料を使い果たすのが早く寿命が短くなります。超大質量星の寿命は最大200万歳であるため、球状星団の形成期に存在したその星は初期の段階で姿を消し、その残骸が周囲のガスを「汚染」したのです。

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ウェッブ望遠鏡の133億年前の銀河のデータから手がかり

ジュネーブ大学やバルセロナ大学、パリ天体物理学研究所などの研究チームは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が赤外線でとらえた約133億年前の銀河「GN-z11」の観測データから、超大質量星の存在に関する手がかりを得たと発表しました。

GN-z11のスペクトルの分析から、非常に高い割合の窒素と、非常に高密度の星々が含まれていることがわかりました。これは、この銀河でいくつかの球状星団が形成されており、それらの星団が活動的な超大質量星を抱えていることを示唆しているとのことです。「窒素の割合が高いことは、超大質量星の中心部でのみ到達しうる極端な高温での水素の燃焼によってのみ説明することができます」とジュネーブ大学のCorinne Charbonnel氏は語っています。

研究チームはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のデータを使い、遠方の銀河で形成されている他の球状星団で、モデルの妥当性を検証していくことにしています。

(参照)University of Geneva