アルマ望遠鏡、回転を始めたばかりの宇宙初期の銀河を観測

132.8億光年かなた、つまりビッグバンからわずか5億年後の銀河「MACS1149-JD1」をアルマ望遠鏡で観測したところ、MACS1149-JD1が回転している兆候が見つかりました。MACS1149-JD1の回転速度は秒速50kmほどで、天の川銀河の回転速度(秒速220km)と比べて非常に遅く、回転運動を始めた初期段階をとらえたものとみられています。早稲田大学大学院の徳岡剛史さんらの研究成果です。

以前よりも空間分解能を高めて観測

MACS1149-JD1の想像図。Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)
MACS1149-JD1の想像図。Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)

銀河の回転を横から見た場合、地球に近づく部分と遠ざかる部分が存在します。遠ざかる部分からの光の波長は長い(赤い)ほうへずれ、近づく部分の波長は短い(青い)ほうへずれます。

そのような波長の変化をとらえることで、MACS1149-JD1に回転の兆候があることが分かりました。アルマ望遠鏡を使ったMACS1149-JD1は以前にも行われたことがありましたが、今回は空間分解能を2.5倍高めた観測を行うことで、銀河内部の構造や運動を調べることができたのです。

今回の観測から、MACS1149-JD1の直径は約3000光年と推定されました。また回転速度の情報と組み合わせると、MACS1149-JD1の質量は太陽の約10億倍と推定されました。これはMACS1149-JD1のスペクトルの概形と光度から推定された質量と一致しており、その質量は2億〜3億年前に形成された星に担われているとみられています。

宇宙初期の銀河の回転を調べることは、銀河の形成過程の理解にもつながります。MACS1149-JD1はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の初年度の観測ターゲットにもなっており、回転円盤や恒星の分布などが明らかになると考えられています。

(参照)アルマ望遠鏡