日欧共同の水星探査ミッション「ベピコロンボ」が、2025年1月8日に水星での6回目のスイングバイを行います。ベピコロンボは水星の周回軌道に入るまでに合計9回(地球で1回、金星で2回、水星で6回)のスイングバイを行いますが、今回の水星スイングバイが最後のスイングバイとなります。
表面から295kmまで最接近。水星の北極上空を通過
水星への最接近は1月8日5時59分(世界時、日本時間14時59分)。最接近時、ベピコロンボは水星表面から295kmまで接近します。ベピコロンボは水星の夜側から近づいていき、最接近の約7分後、昼側に入る6時6分(日本時間15時6分)ごろから水星表面をモニタリングカメラで撮影する予定です。
今回のスイングバイで、ベピコロンボは水星の北極の真上を通過します。水星の北極には太陽光に照らされることのない永久影のあるクレーターが存在しており、永久影には水の氷が存在するとみられています(本当に存在するかどうかは、ベピコロンボが解明しようとしている謎の一つです)。8日のスイングバイ時には、そのようなクレーターをモニタリングカメラで撮影することになります。
そのほか、水星最大の衝突地形である直径1500km以上のカロリス盆地も、モニタリングカメラで撮影される予定です。また、水星の磁気圏の「カプス」と呼ばれる領域などで磁気および粒子環境の調査も行われます。
今回のスイングバイでは、ベピコロンボは23分以上、水星の影の中を飛行します。その間は太陽光が当たらないため、ベピコロンボはバッテリーのみで飛行を続けます。運用チームは、ベピコロンボが夜側に入る1日前から水星の影に入る数分前まで探査機を温めることにしています。それにより影に入っている間、探査機がヒーターを使う必要がなくなるため、バッテリーの電力を節約できることになります。
2026年11月に水星の周回軌道へ入る予定
ベピコロンボは、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)の水星磁気圏探査機「みお」(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)と、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の水星表面探査機(MPO:Mercury Planetary Orbiter)という2機のオービターで水星の観測を行うミッションです。
現在ベピコロンボは、「みお」とMPO、そして電気推進モジュール(MTM)が結合した状態で水星に向かっています。ベピコロンボは今回のスイングバイにより速度を落として方向を変え、2026年11月に水星の周回軌道に入る予定です。
なおJAXA相模原チャンネルでは1月8日(水)14時〜16時、運用室からスイングバイの模様をYouTubeでライブ配信する予定とのことです。→【#みお水星スイングバイ】 BepiColombo「みお」 第6回水星スイングバイ ライブ中継
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Image Credit: ESA/ATG medialab
(参照)ESA