この画像は、おおかみ座の方向、約450光年の距離にあるHD142527という若い星をアルマ望遠鏡がとらえたものです。星のまわりにあるガスと塵の原始惑星系円盤が映っています。2013年に公開された画像です。
円盤にはすきまがあり、ガスと塵でできた円盤が内側と外側に分かれています。内側の円盤は太陽〜土星間の距離に相当する約15億kmまで広がり、外側の円盤はさらにその14倍も遠いところにあります。そのすきまは、作られつつある巨大ガス惑星によってできたものだと考えられています。
冒頭の画像は、外側の円盤にある塵の分布を赤、外側の円盤とそこから内側に流れ込むガス(HCO+分子)を緑、すきまに残るガス(一酸化炭素分子)を青に色付けしてあります。
形成途中の惑星は、外側の円盤から流れ込むガスを取り込みながら成長しています。そのため円盤のすきまには、成長中の惑星と円盤とを「へその緒」のようにつなぐガスの流れがあると考えられています。そして惑星に取り込まれなかったガスは、惑星を通り過ぎて内側の円盤に落ちていきます。そのようなガスの流れも2本見つかりました。
中心にある恒星も内側の円盤からガスを取り込みながら成長している途中です。そのままでは内側の円盤はすぐに消えてしまいそうですが、円盤の形が保たれる程度に、外側の円盤から内側の円盤にガスが供給されていることもわかりました。
こちらはHD142527の円盤のイメージ図です。馬蹄形をした外側の円盤と内側の円盤のすきまに2本のガスの流れが伸びています。ガスの流れの途中に、成長しつつある惑星が1つずつあると考えられています。
(参照)アルマ望遠鏡