
この画像には、NGC 4490(左)とNGC 4485(右)という2つの矮小銀河が映っています。「Arp 269」とも呼ばれるこれらの銀河のペアは、りょうけん座の方向、地球から約2400万光年の距離にあります。画像はウェッブ望遠鏡のNIRCam(近赤外線カメラ)とMIRI(中間赤外線装置)、そして一部ハッブル宇宙望遠鏡の狭帯域フィルタ(657N)の画像をもとにして作成されました。
NGC 4490とNGC 4485の間には、ガスと星からなる「橋」が架かっています。2億年ほど前、2つの銀河はたがいに回りながら接近し、その後離れていきました。そして大きな方の銀河NGC 4490が伴銀河からガスを引き込み、2つの銀河の間が橋で結ばれたのです。このような相互作用の結果、新たに形成されたガスの橋に沿って、また2つの銀河の内部で、爆発的な星形成が進みました。画像全体に赤く映る領域のあちらこちらで青くみえている部分は、最近形成された星団からの紫外線によって電離したガスが輝いている領域です。
矮小銀河は初期宇宙の若い銀河に似ている
矮小銀河はガスを多く含み、星の数は比較的少なく、天の川銀河(銀河系)のような銀河と比べると質量がはるかに小さな銀河です。初期宇宙にあった若い銀河と似ていると考えられており、ヘリウムより重い元素(天文学では「金属」と呼ばれます)が少ないという特徴があります。Arp 269のようにな地球に近い矮小銀河の衝突や合体のようすを調べることで、かつての宇宙で銀河がどのように成長し、進化したのかを推測することができます。
ウェッブ望遠鏡のウェブページでは毎月、「Picture of the Month(今月の1枚)」の画像を公開しています。今回紹介した画像は2025年12月2日にPicture of the Monthとして掲載されたものです。
(参考)「ウェッブ望遠鏡Picture of the Month」記事一覧
Image Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, A. Adamo (Stockholm University), G. Bortolini, and the FEAST JWST team
(参照)ESA/Webb

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