2021年6月29日、ブラックホールと中性子星の連星からの重力波が、アメリカのアドバンストLIGOとヨーロッパのアドバンストVirgoによって初めて検出されたとの発表がありました。この重力波は、2020年1月5日に検出されたものです。
これまで検出された重力波は、ブラックホールのペアか中性子星のペアの合体のどちらかでした。ブラックホールと中性子星の組み合わせによる重力波はこれまで見つかっていなかったにもかかわらず、初検出から10日後にも同じ組み合わせの連星からの重力波が検出されました。ブラックホールと中性子星の連星系の存在は、数十年前から予測されていましたが、観測的な証拠が得られたのは今回が初めてです。
今回検出された1つ目の重力波「GW200105」は、太陽質量の約8.9倍のブラックホールと、約1.9倍の中性子星の連星によって約8億年前に放出されたものでした。一方、2つ目の重力波「GW200115」は、太陽質量の約5.7倍のブラックホールと約1.5倍の中性子星の連星によって約10億年前に放出されたものと推定されています。
今回の観測から、ブラックホールと中性子星の合体は、私たちから10億光年の距離の範囲内で年間に5〜15個が発生すると予想されています。
Image Credit: Carl Knox, OzGrav - Swinburne University
(論文)Observation of Gravitational Waves from Two Neutron Star–Black Hole Coalescences
(参照)LIGO Scientific Collaboration、Virgo Website、KAGRA 大型低温重力波望遠鏡