火星の「偵察衛星」がとらえた、急斜面で発生した塵のなだれ | アストロピクス

火星の「偵察衛星」がとらえた、急斜面で発生した塵のなだれ

この画像は、火星の表面に見られる暗い筋を、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査機マーズ・リコネッサンス・オービターが撮影したものです。

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火星表面をおおう塵の下があらわになった

火星の急峻な斜面では、この画像のような暗い筋がよく見られます。「スロープ・ストリーク」と呼ばれるこの暗い筋は、何か暗い物質が滑り落ちたかのように見えるかもしれません。しかし実際にはそうではなく、火星の表面を多く塵がなだれのように斜面を滑り落ちたことで、塵の下にある表面が見えているものです。

太陽光が高い角度で当たっている状態でこのような暗い筋を撮影すると、起伏のない単なる暗い染みのように見えます。ただこの画像のように太陽光が低い角度から当たっている状態で撮影すると、暗い部分の起伏もわかります。

なおマーズ・リコネッサンス・オービターの「リコネッサンス(reconnaissance)」とは「偵察」の意味です。マーズ・リコネッサンス・オービターはその名にたがわず、高解像度で火星の観測を続けています。

マーズ・リコネッサンス・オービターに搭載された高解像度カメラHiRISEのウェブページ(アリゾナ大学)では、HiRISEで撮影した画像を毎日1枚ずつ、HiPOD(HiRISE Picture of the Day、HiRISEの今日の1枚)として紹介しています。この画像は2021年1月20日に撮影されたもので、2025年10月13日のHiPODとして紹介されました。

(参考)
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Image Credit: NASA/JPL/UArizona

(参照)HiRISE