この画像の中央には、暗い銀河がまるで幽霊のようにぼんやりと映っています。この銀河は、うみへび座銀河団に属する「UDG 4」と呼ばれる銀河です。ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLTサーベイ望遠鏡(VST)で撮影されました。UDGは「ultra-diffuse galaxy」の略で、日本語では「超拡散状銀河」「超淡銀河」などと書かれることがあります。
UDGは天の川銀河と同じくらいの大きさでありながら、星の数が100〜1000倍も少ない銀河です。また非常に暗く、星形成ガスがありません。UDGがどのようにしてできたのかは分かっていませんが、進化の早い段階でガスを失ったのではないかと見られています。
画像は「VST Early-type Galaxy Survey(VEGAS)」という大規模研究プログラムの一環で撮影されたものです。VEGASは、銀河団内の非常にかすかな構造を調査することを目的としています。イタリア国立天体物理研究所(INAF)のEnrichetta Iodice氏らの研究チームはVEGASの一環として行った観測で、うみへび座銀河団でUDGの候補を12個発見しました。ただUDGの正体を解明するには、さらなる観測が必要とされています。
画像は2021年3月15日にリリースされたESOの「今週の1枚(Picture of the Week)」です。
Image Credit: ESO/Iodice et al.
(参照)ESO