ベラ・C・ルービン天文台での観測から、超高速で自転する19個の小惑星が発見されました。そのうちの一つは、直径500mを超えるものとしては、これまで発見された中で最も速く自転する小惑星です。ルービン天文台が2025年4〜5月に試運転を行った際、約10時間にわたり収集されたデータから明らかになりました。

小惑星はさまざまな速度で自転しています。その自転速度は、小惑星の形成時の条件や内部構造などに関する手がかりを与えてくれます。特に高速で自転する小惑星は、過去にほかの天体との衝突によって加速された可能性があり、もともとはより大きな天体の破片である可能性を示唆しているとのことです。
小惑星が高速自転するには、ばらばらにならないような内部の強度が必要です。多くの小惑星は多数の岩石片が重力によってゆるく結合した「ラブルパイル」という構造をしているとみられており、ばらばらにならずに回転できる速度の限界があります。小惑星帯にある小惑星の場合、ばらばらにならない高速自転の限界は2.2時間とのこと。それより速く自転する小惑星は構造的に強い必要があります。自転が速いほど、またサイズが大きいほど、構造が強固でなければなりません。
5分未満で1自転する小惑星を3個発見

今回発見された19個の小惑星のうち、16個は自転周期が約13分から2.2時間、あとの3個は5分未満で1回自転していました。最も速く自転する小惑星2025 MN45は、直径710mで1.88分ごとに1回転しています。直径500mを超えるものとしては最速の自転となりました。研究チームの計算によれば、この小惑星は固体の岩石と同程度の凝集力が必要だとのことです
今回の発見で注目されている小惑星には2025 MN45のほかに、2025 MJ71(自転周期1.9分)、2025 MK41(自転周期3.8分)、2025 MV71(自転周期13分)、2025 MG56(自転周期16分)などがあります。
ルービン天文台は近いうちに本格観測をスタート
ルービン天文台は南米チリのセロ・パチョン山の山頂に建設されました。ルービン天文台に設置されている口径8.4mの光学赤外線望遠鏡には、32億画素の史上最大のデジタルカメラ「LSSTカメラ」が搭載されています。8m級の望遠鏡としては最大の視野があり、満月45個分の範囲を一度に観測できます。
ルービン天文台では近いうちに「時空間レガシーサーベイ(Legacy Survey of Space and Time: LSST)」がスタートする予定です。このプロジェクトでは、10年間にわたり南半球の空全体を繰り返し撮影します。それによりダークマターやダークエネルギーの謎に迫るほか、天の川のマッピングも行います。
また数夜ごとに空全体を観測するので、遠方の星に対して移動する太陽系内の天体(小惑星や彗星など)や、時間の経過とともに明るさが変わる天体(超新星爆発や変光星など)なども新たに発見・観測されると期待されています。
2025年春の10時間の観測だけでも数千個の小惑星が観測され、そのうち約1900個がこれまで未発見のものでした。今回発表された高速自転する19個の小惑星は、それらの中から発見されたものです。
(参考)
32億画像のデジタルカメラでとらえた「おとめ座銀河団」超精細画像 ルービン天文台が試験観測で撮影
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