ジェミニ南望遠鏡がとらえた恒星間天体アトラス彗星(3I/ATLAS) | アストロピクス

ジェミニ南望遠鏡がとらえた恒星間天体アトラス彗星(3I/ATLAS)

恒星間天体としては3例目のアトラス彗星(3I/ATLAS)が、南米チリにあるジェミニ南望遠鏡でとらえられました。画像は2025年8月27日に、ジェミニ南望遠鏡の多天体分光器(GMOS)で撮影されたものです。アウトリーチプログラムの一環として得られたものですが、色や組成に関する科学的なデータも取得されたとのことです。

画像には彗星の「コマ」と、120分の1度ほどの長さの尾が映っています。コマは太陽に近づくと現れる、核を取り巻くガスと塵の雲です。それらは以前、ジェミニ北望遠鏡がアトラス彗星を撮影した画像で確認されたよりも広がっており、太陽系内を移動するうちに活動が活発化していることを示しています。

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太陽へは10月末ごろに最接近

アトラス彗星は2025年7月1日、ATLAS(小惑星地球衝突最終警報システム)での観測によって最初に報告されました。発見時の距離は、太陽から約6億4000万kmでした。2017年のオウムアムア(1I/ʻOumuamua)、2019年のボリソフ彗星(2I/Borisov)に次ぐ3例目の恒星間天体です。太陽を楕円軌道で周回する彗星とは異なり、アトラス彗星は双曲線軌道で運動しています。太陽に最接近した後は2度と戻ってくることはありません。

太陽へは10月末ごろに、約2億1000万km(火星軌道の内側)まで最接近します。9月までは地上の望遠鏡で観測可能で、その後は太陽に近づくため地上からは観測できなくなります。12月初旬に太陽の反対側から再び現れると予想されています。

(参考)
3例目の恒星間天体アトラス彗星(3I/ATLAS)をハッブル宇宙望遠鏡が撮影
3例目の恒星間天体「3I/ATLAS」をジェミニ北望遠鏡が撮影
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Image Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/Shadow the Scientist; Image Processing: J. Miller & M. Rodriguez (International Gemini Observatory/NSF NOIRLab), T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab), M. Zamani (NSF NOIRLab)

(参照)NOIRLab