これらの画像は、土星の衛星タイタンを赤外線でみたものです。角度の異なる6枚の画像により、タイタン全球の表面が見えています。
タイタンは土星最大の衛星で、半径が2574.7kmあります。太陽系全体でみても、衛星としては木星の衛星ガニメデに次いで2番目に大きな天体です。分厚い大気があり、全体がもやで覆われているため、可視光では宇宙からタイタンの表面を見ることはできません。もやが可視光を散乱してしまうのです。しかし赤外線ならば、もやによる散乱や吸収が弱い波長で表面を観測することができます。
冒頭の画像は、カッシーニ探査機のVIMS(可視赤外マッピング分光計)を使って赤外線で撮影された画像をもとに作成されました。
カッシーニ探査機はタイタンを周回していたわけではなく、土星を周回しつつ、タイタンに接近する際に観測を行いました。VIMSでの撮影画像は、接近するごとに解像度や照明条件などが異なります。そのため異なる時期の画像をつなぎあわせると、継ぎ目が見えてしまいます。冒頭の画像は、そのような継ぎ目が出ないように処理されたものです。
画像からは、タイタンの表面が非常に複雑で、さまざまな地質学的特徴を持っていることがわかります。
こちらはカッシーニ探査機が可視光で見たタイタンの画像です。もやのため表面は見えていません。この画像について詳しくは→「カッシーニ探査機、衛星タイタンのファイナルショット」
Main Image Credit: NASA/JPL-Caltech/University of Nantes/University of Arizona