天の川銀河のダークマターは予想よりかなり少ない!?

ダークマター(暗黒物質)も含めた天の川銀河の総質量が、従来の予想より4分の1〜5分の1ほどだとする研究が発表されました。ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の位置天文衛星ガイア(Gaia)のデータに基づく研究成果です。

従来、天の川銀河の質量は、太陽の1012倍(1兆倍)ほどと推定されていました。そのうち、星やガスなど通常の物質は、およそ0.6×1011倍(600億倍)とみられており、残りはダークマターです。通常の物質と比べ、ダークマターは少なくとも6倍あり、10〜20倍存在する可能性も考えられていました。

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天の川銀河の回転曲線が他の銀河と異なっていた

今回の研究で導き出された回転曲線。天の川銀河の中心から遠いところで右下がりになっています。kpc(キロパーセク)は距離の単位で、1キロパーセクは約3260光年。
今回の研究で導き出された回転曲線。天の川銀河の中心から遠いところで右下がりになっています。kpc(キロパーセク)は距離の単位で、1キロパーセクは約3260光年。

たとえば太陽系の天体の場合、ケプラーの第3法則(惑星の公転周期の2乗は軌道長半径の3乗に比例)に則って、太陽に近い天体ほど太陽を公転するスピードは速く、太陽から遠い天体ほど遅くなります。

しかし銀河においては中心に近い方と遠い方とで、公転するスピードがあまり変わらないことが観測されていました。銀河中心からの距離に対する回転速度をプロットしたグラフを「回転曲線」といいます。多くの円盤銀河では回転曲線が平坦になっていたのです。

今回、パリ天文台などの研究チームは、ガイア衛星による星の位置と運動のデータをもとに、天の川銀河の回転曲線を導き出しました。その回転曲線は、銀河中心から遠いところで回転のスピードが遅くなることを示していました。

そして回転曲線から天の川銀河の質量を算出したところ、太陽の約2.06×1011倍(2000億倍)しかないと推定されました。これは従来の推定値と比べ4分の1〜5分の1ほどの値です。通常の物質の質量は変わりません。新しい推定値によれば、天の川銀河で星やガスなどの通常の物質は約3分の1、残りの3分の2がダークマターと考えられています。

天の川銀河と他の銀河とで、回転曲線が異なるのはどうしてなのでしょうか。一つには、天の川銀河が他の銀河と比べ、銀河衝突の影響が比較的残っていないからかもしれません。あるいは、他の銀河の回転曲線は中性ガスを利用して導き出されているのに対し、今回の天の川銀河の回転曲線は恒星のデータから導き出されたものであり、その手法の違いに起因している可能性もあるとのことです。

Credits: Jiao, Hammer et al. / Observatoire de Paris - PSL / CNRS / ESA / Gaia / ESO / S. Brunier

(参照)Gaia - CosmosObservatoire de Paris - PSL