NASAのSPHEREx衛星がとらえた赤外線全天画像 | アストロピクス

NASAのSPHEREx衛星がとらえた赤外線全天画像

この画像は、2025年3月に打ち上げられたNASA(アメリカ航空宇宙局)のSPHEREx衛星が赤外線でとらえた全天画像の1枚です。画像には、高温の水素ガス(青)と塵(赤)から放射される赤外線が主に見えており、星からの赤外線(青、緑、白)も含まれています。画像の中央を横切っているのは天の川で、上や下の方に見られる光の点のほとんどは銀河です。

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102の波長の赤外線で全天を観測

SPHEREx(Spectro-Photometer for the History of the Universe, Epoch of Reionization, and Ices Explorer)は、赤外線の102の波長で全天を観測します。南北の極の上空を通過しながら1日に地球を約14.5周。1日に約3600枚の画像を撮影し、6か月で全天を撮影します。今回紹介するのは、2025年5月〜12月に得られた最初の全天データをもとに作られたものです。

こちらは星や銀河からの赤外線が映っています。

こちらの画像では、PAH(多環芳香族炭化水素)という、すすのような有機分子が赤で示されています。青は水素ガスからの赤外線。

SPHERExは2年間の主要ミッションの間に、さらに3回の全天スキャンを実施する予定です。NASAのWISE衛星など、これまでにも赤外線で全天を観測した例はありますが、SPHERExほど多くの波長で観測したミッションはありません。またジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、SPHERExよりも多くの波長で分光観測を行うことができますが、視野が非常に狭くなります。SPHERExでは、波長の多様さと視野の広さをあわせもったミッションになっています。

(参考)
夜空の全天写真と天の川の360度4K映像
WISE衛星が赤外線で見た全天マップ
18億超の星の全天マップ。ガイア衛星の最新データ公開!

Image Credit: NASA/JPL-Caltech

(参照)JPL