「PIGS(Pristine Inner Galaxy Survey)」という国際研究チームにより、天の川銀河の中心付近にある古代の星々について、これまでで最も詳細で最大規模の観測結果が得られました。それらの星々は無秩序に形成されたと考えられていましたが、実際には天の川銀河の中心のまわりをゆっくりと回っていることが分かったとのことです。
地上望遠鏡と位置天文衛星ガイアを組み合わせて研究
宇宙誕生の10億年後ごろまでに誕生した星の一部は現在でも存在しています。それらの星は、ほとんどが水素とヘリウムからできており、太陽のような星と比べると重元素の量がはるかに少なくなっています。そのような化学組成を目印として古代の星を探すことができます。
理論的には、星々が密集する天の川の内部に古代の星が存在すると予想されていました。ただ天の川の中心方向には大量の星間塵があり、また古代の星の数は圧倒的に少ないため、発見することは困難でした。
研究チームはカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡(CFHT)で候補となる星をまず選びました。その後、アングロオーストラリアン望遠鏡(AAT)を使った分光観測により確認され、詳細な観測結果が得られました。
さらにその結果をESA(ヨーロッパ宇宙機関)の位置天文衛星ガイア(Gaia)のデータと組み合わせ、確認された古代の星々が天の川銀河内をどのように動くのかを調べました。古い星ほど動きが無秩序な傾向にありましたが、最も古い星でさえ銀河中心のまわりで、ある程度の平均的な運動をしていました。またそれらの星の多くは、生涯のほとんどの期間を、銀河中心〜太陽の中間までの球の内側で過ごしていることも示されました。