天王星の衛星の地下に海!? 40年前のボイジャー2号のデータから可能性が指摘された

天王星には27個の衛星があることが知られています。そのうちの衛星アリエルとミランダの両方あるいはどちらかから物質が放出されている可能性を示唆する研究が発表されました。土星の衛星エンケラドスのように、衛星の地下に海が存在し、そこから物質が噴出している可能性もあるようです。アメリカ、ジョンズホプキンス大学応用物理学研究所(APL)のIan Cohen氏らによる研究で、40年前にボイジャー2号によって取得された高エネルギーイオンや磁場のデータを再解析して得られたものです。

天王星と5大衛星の想像図。内側からミランダ、アリエル、ウンブリエル、チタニア、オベロン。Credit: NASA/Johns Hopkins APL/Mike Yakovlev
天王星と5大衛星の想像図。内側からミランダ、アリエル、ウンブリエル、チタニア、オベロン。Credit: NASA/Johns Hopkins APL/Mike Yakovlev

Cohen氏らはボイジャー2号のLECP(低エネルギー荷電粒子)装置のデータを解析し、天王星の磁気赤道付近の狭い範囲に粒子が閉じ込められていることを発見しました。研究チームは簡単な物理モデルと、ボイジャー以来40年間で蓄積されてきた知識を活用し、ボイジャー2号の観測結果を再現しようと試みました。そして粒子の発生源と、粒子にエネルギーを与える特定のメカニズムの両方が必要であることを見出しました。いくつかの可能性を検討し、粒子は付近の衛星に由来する可能性が最も高いと結論づけられました。

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粒子の発生には2つの可能性

研究チームは粒子が発生するメカニズムとして2つの可能性を考えています。1つはアリエルやミランダから、エンケラドスと同様に地下の海から蒸気のプルームとして放出されるとするもの。もう1つは、高エネルギー粒子が衛星表面に衝突して粒子を弾き出すプロセス(スパッタリングと呼ばれます)を介しているとするものです。Cohen氏によれば、可能性は半々とのこと。

ただ物理モデルによれば、粒子にエネルギーを与えるメカニズムは同じであることが示唆されています。衛星から絶え間なく宇宙空間に粒子が流れ出て、そこで電磁波を発生させます。これらの電磁波は、粒子のごく一部をLECPが検出できるエネルギーまで加速させるのです。このプロセスによって、LECPによって検出された粒子が非常に狭いところに閉じ込められていると研究チームは考えています。

ただこれまでの観測は1度きりなこともあり、粒子の発生源を特定することはできません。Cohen氏によれば「新たなデータが得られるまで、結論は常に限定的なものになる」とのことです。

Image Credit: NASA/Johns Hopkins APL/Mike Yakovlev

(参照)Johns Hopkins Applied Physics Laboratory