近年、NASA(アメリカ航空宇宙局)のケプラー宇宙望遠鏡や系外惑星探索衛星TESSなどにより数多くの太陽系外惑星が発見されています。それらの衛星は「トランジット法」という方法で系外惑星を探しています。恒星の手前側を惑星が横切ると、恒星の明るさが変化します。その変化の様子から系外惑星を見つける方法が「トランジット法」です。
アメリカ、コーネル大学とアメリカ自然史博物館の研究チームは、100パーセク(326光年)以内にある恒星系の中で、地球をトランジット法で検出しうる2034個の星を特定しました。過去5000年間に地球を検出し得た1715個と、今後5000年間で地球を検出し得る319個の恒星系です。
これまでにも同様の研究が行われたことはありました。ただそれらは恒星の現在の位置のみを考慮したものでしたが、今回の研究では時間経過も考慮されています。恒星は宇宙の中で動き回っているため、「トランジットゾーン(トランジット法で地球を検出できる範囲)」にいるかどうかは時間の経過によって変化します。
研究チームはESA(ヨーロッパ宇宙機関)の位置天文衛星ガイアのデータ(Gaia eDR3カタログ)の位置と運動のデータを使い、どの星がどれくらいの期間、地球を検出可能かを調べました。例えば、11光年の距離にある赤色矮星ロス128は、約3057年前から2158年間、トランジットゾーンにありました。また45光年の距離にあり、7つの地球サイズの系外惑星を持つことで知られるトラピスト1は、1642年後にトランジットゾーンに入り、2371年間にわたりゾーン内に位置するとのことです。
2034個の恒星系のうち、太陽から約100光年以内にあるのは117個で、そのうち75個は、100年ほど前に地球でラジオ放送が始まって以降、トランジットゾーン内に存在しています。それらの星に惑星があり、高度な技術を持つ文明が発展していれば、ラジオの電波を検出している可能性があるとのことです。
Image Credit: OpenSpace/American Museum of Natural History