知られている中で最年少のホットジュピターを発見!

私たちの太陽系では、木星や土星などの巨大ガス惑星は比較的外側を公転しています。ところが太陽系外では、巨大な惑星が恒星のすぐ近くを公転している例がたくさん見つかっています。恒星に近く表面温度が高いことから、このような巨大惑星は「ホットジュピター」と呼ばれています。

NASA(アメリカ航空宇宙局)の太陽系外惑星探査衛星TESSの観測から、これまで発見された中で最も若いとみられるホットジュピター「HIP 67522 b」が見つかりました。

主星であるHIP 67522の年齢は1700万歳で、このホットジュピターはそれより数百万歳若いとみられます。知られているほとんどのホットジュピターの年齢が10億歳以上であるのに対して、HIP 67522 bは非常に若いホットジュピターといえます。

HIP 67522は地球から490光年の距離にあり、太陽に似た質量を持っています。HIP 67522 bの直径は地球の10倍ほどで、主星のまわりを7日間で公転しています。

HIP 67522 bを発見したTESSは、トランジット法で系外惑星を検出します。トランジット法は、惑星が恒星の手前を通過したときの星の明るさのわずかな変化を検出する方法です。

ただ若い星は表面に暗い黒点が多く現れる傾向にあり、それは手前を通過する惑星と同じように見えることがあります。今回はスピッツァー宇宙望遠鏡のデータを用いることで、黒点ではなく系外惑星であることが確認されました。

私たちの太陽系とは異なり、ホットジュピターがなぜ恒星のすぐ近くにあるのかについては、主に3つの説があります。

1つは、元からその場所で形成されたとするものです。ただ若い星の表面ではしばしば爆発現象が発生し、恒星風もはげしく噴出しています。そのような厳しい環境で惑星が形成されるのは考えにくいようです。

あとの2つは、ホットジュピターが遠い場所で形成された後で、恒星の近くに移動してきたとするものです。惑星の元になったガスと塵の円盤がまだ残っているころにホットジュピターが移動したとする説と、しばらく後になって他の惑星の重力の影響で移動したとする説があります。

今回、誕生してからそれほど時間が経過していないにもかかわらず、HIP 67522 bがすでに恒星に近づいているということは、3つ目の仮説には適合しないことを示唆しています。ただ、この1つの例だけでホットジュピターの形成の仕方に決着がつくわけではなく、さらに多くの情報が必要です。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech

https://exoplanets.nasa.gov/news/1648/young-giant-planet-offers-clues-to-formation-of-exotic-worlds/