ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、主鏡の調整を成功裏に完了

2021年12月25日に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡。観測開始に向けて調整作業が進むなか、主鏡の主な微調整の作業が完了したとNASA(アメリカ航空宇宙局)が公表しました。

ウェッブ望遠鏡の主鏡は、18枚に分かれた六角形の鏡(セグメント)で構成された複合鏡です。うまく光を集められるよう、各セグメントの位置を調整する必要があります。折り畳まれた状態で打ち上げられた主鏡は宇宙空間で広げられ、その後、ナノメートル単位で調整されてきました。

ウェッブ望遠鏡チームは2022年3月11日、「ファインフェイジング(fine phasing)」と呼ばれる調整段階を完了しました。その結果、ウェッブの光学系は期待通り、あるいはそれ以上の性能を発揮しているとのことです。鏡から観測装置までの光路に問題は見られませんでした。

冒頭の画像は、主鏡の調整を評価するために「2MASS J17554042+6551277」と呼ばれる星をNIRCam(近赤外線カメラ)で撮影したものです。NIRCamの感度は非常に高く、背景には星や銀河も映っています。

こちらはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の「自撮り」画像です。主鏡を撮影するために設計されたNIRCam内の特殊なレンズを使って得られたもの。アストロピクスで以前紹介した「自撮り」画像では明るいセグメントは1枚だけでしたが、この画像では18枚のセグメント全てが明るくなっており、同じ星からの光を集めている様子が示されています。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡では今後も、各種観測装置を含め望遠鏡の調整が続けられます。最初のフル解像度画像と科学データは2022年夏に公開される予定です。

Image Credit: NASA/STScI

(参照)NASA