地球からみると月の裏側は見えず、常にほぼ同じ面が見えています。月が自転していないように思われるかもしれませんが、実際にはそうではありません。月は地球のまわりを公転しながら自転しています。映像は、それを示したものです。
月が常にほぼ同じ面を向けているのは、月の公転速度と自転速度が同じだからです。月の公転周期と自転周期はいずれも約27.3日です。上のアニメーションでは、月の自転をわかりやすくするために、回転方向を示す黄色い矢印とともに、地球に向いた黄色い直線が描かれています。その黄色い直線の根元は、月の赤道上の経度0度の地点を常に示しています。
このような現象は、潮汐力の影響で発生します。月のように、公転周期と自転周期が同じになる状態は「潮汐ロック」「同期自転」などと呼ばれています。潮汐ロックは、木星のガリレオ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)をはじめ、太陽系の天体ではよく見られる現象です。冥王星と衛星カロンでは、どちらの天体も常に同じ面を相手に向けています。
Credit: NASA's Scientific Visualization Studio