2025年3月14日、地球から皆既月食が観測された日に、月面から「皆既日食」を撮影した映像が公開されました。アメリカのファイアフライ・エアロスペース社の月着陸機「ブルーゴースト」が撮影したものです。皆既月食は、地球の影の中に月が入ることで発生します。そのとき月から見ると、地球が太陽を隠す「日食」が起こります。
ブルーゴーストは3月2日17時34分(日本時、以下同じ)、月面の危機の海にあるラトレイユ山付近へ軟着陸しました。前回の記事では、14日17時30分ごろ撮影された日食(ダイヤモンドリング)の画像を1点紹介しましたが、今回の一連の画像はその1時間ほど前の16時30分ごろに撮影されたものです。
全体が赤く見えているのには理由があります。月から見て地球が太陽を隠しても、一部の光は月面まで届きます。地球の大気を太陽光が通過するとき、青など波長の短い光は大気中の分子によってほとんど散乱されてしまい、散乱されにくい波長の長い赤い光だけが、大気によって屈折して月面まで届くのです。地球から皆既月食中の月を見ると赤く見えます。
太陽(地球)の上側には水星(左)と金星(右)も見えています。また画像下端付近を見ると、太陽電池パネルに地球に隠れる太陽が映っています。
(参考)
「ブルーゴースト」記事一覧
皆既月食で月が赤く見えるのはなぜ?
Image Credit: Firefly Aerospace