130億年前の銀河で水分子を発見〜アルマ望遠鏡の観測成果 | アストロピクス

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130億年前の銀河で水分子を発見〜アルマ望遠鏡の観測成果

アルマ望遠鏡の観測によって、宇宙初期の巨大銀河「SPT0311-58」から水分子が検出されました。この画像はSPT0311-58をアルマ望遠鏡でとらえたもので、左は塵(赤)、水分子(青)、一酸化炭素(紫、マゼンタ、ピンク)が放つ電波を合成したもの、右はそれぞれの電波の個別の画像です。手前にある天体の重力レンズ効果によって2つに分かれて見えています。

水素やヘリウムなどの軽い元素は、宇宙の最初期のビッグバン直後に合成されました。それらの軽い元素を材料として最初の世代の星(ファーストスター)が形成され、炭素より重い元素はそれらの星の内部でおきる核融合反応によって合成されました。SPT0311-58で一酸化炭素分子や水分子が豊富に検出されたことは、宇宙初期で元素が合成された直後に多数の分子が作られていたことを示唆しています。

塵は、銀河内の星からの紫外線を吸収し、遠赤外線として再放射します。その遠赤外線が水分子を励起し、科学者が観測できる水分子の放射を生み出します。このように水分子の放射と塵の遠赤外線放射には相関があり、水からの放射強度を星形成の活発さの指標として使うことができます。

Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/S. Dagnello (NRAO)

(参照)アルマ望遠鏡NRAO