「ミニネプチューン」は、スーパーアース(地球の1〜10倍程度の質量の惑星)より大きく、海王星型惑星よりは小さな、質量が地球の10〜30倍程度の太陽系外惑星です。太陽系には存在しませんが、天の川銀河では最も一般的なタイプの惑星です。
アメリカ、メリーランド大学のEliza Kempton氏らの研究チームは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使って、地球から40光年の距離にある系外惑星GJ 1214 bが主星を公転する際に放射される熱(赤外線)を測定することによって惑星の大気を観測しました。
研究チームは、GJ 1214 bが主星を1周する時間に相当する40時間にわたり、惑星が放射する赤外線をウェッブ望遠鏡のMIRI(中間赤外線装置)で測定しました。惑星の昼側から夜側へ移動する熱の量は、大気の組成に大きく依存します。研究チームは、熱の動きや変動を測定することで、GJ 1214 bには水素が支配的な大気はないと判断しました。
大気中に大量の水蒸気が存在か
ハッブル宇宙望遠鏡による以前の観測から、GJ 1214 bには大量の水が存在する可能性が示唆されていました。GJ 1214 bは、液体の水の海を形成するには高温すぎますが、水蒸気が大気の大部分を占めている可能性があります。
今回のウェッブ望遠鏡のデータからは、水、メタン、あるいはそれらの混合物が大気中に存在する可能性が明らかになりました。正確な組成を求めるには、さらなる観測が必要になりますが、研究チームは水蒸気を検出した可能性が高いと見ています。Kempton氏は、ほんとうに水蒸気が豊富であれば、GJ 1214 bの形成時には大量の水や氷が存在する「水の世界」だった可能性があるとしています。
GJ 1214 bの温度は、予想よりかなり低温でした。これは大気が主星からの光を吸収するのではなく、大部分を反射してしまうからです。従来は光を吸収する煤(すす)のようなものが上空のもやを形成していると考えられていましたが、予想とは異なり明るく反射率の高い何かがもやや雲を形成しているようです。