アルテミス1ミッションの飛行10日目の2022年11月25日15時52分(アメリカ中部標準時、以下同。日本時間26日6時52分)にオリオン(オライオン)宇宙船の軌道制御システムのエンジンを88秒間燃焼し、宇宙船を遠方逆行軌道(DRO、distant retrograde orbit)に投入することに成功したとNASA(アメリカ航空宇宙局)が発表しました。遠方逆行軌道は、月から遠いところを月の公転と逆行するように運動する軌道のことです。なお今回の燃焼の少し前、オリオン宇宙船は今回のミッションで月面から最も遠い距離(9万1732km)の地点を通過しました。
人間の往還用に設計された宇宙船として、これまで地球から最も遠くまで到達したのは、トラブル発生のため月面着陸せず帰還したアポロ13号でした。アポロ13号は地球から40万0171kmまで遠ざかりました。飛行11日目の11月26日7時42分(日本時間22時42分)、オリオン宇宙船はその記録を塗り替えました。オリオン宇宙船は、28日に43万km以上まで遠ざかることになっています。
オリオン宇宙船は飛行16日目(12月1日)に燃焼を行いDROを離脱する予定です。飛行20日目に月でフライバイを行い地球へ帰還する軌道に入ります。
参考記事:アルテミス1、打ち上げから帰還までの予定
Image Credit: NASA