アメリカ、アリゾナ州グラハム山にある大型双眼望遠鏡LBT(Large Binocular Telescpe)を使い、木星の衛星イオを撮影した画像が公開されました。
上の画像は2024年1月10日に撮影されたもので、地上にある望遠鏡で撮影されたイオの画像としては、これまでで最高解像度のものとのこと。LBTに2023年に新たに設置された「SHARK-VIS」という新型カメラと、大気のゆらぎを補正する補償光学システムにより、これほどの解像度が可能になりました。直径80kmほどの地形まで見分けられており、観測を行った研究チームによれば、ハッブル宇宙望遠鏡よりも優れた解像度となっているとのことです。
火山活動が活発なイオ
イオは「ガリレオ衛星」と呼ばれる木星の4大衛星の1つです。イオ(半径約1822km)は地球の月(半径約1738km)よりやや大きく、ガリレオ衛星の中では最も内側を公転しています。イオの表面では、1979年に木星を訪れた2機のボイジャー探査機によって、火山活動が起きていることが観測されました。地球以外で活火山が見つかったのは初めてのことでした。木星などの潮汐力によって内部が加熱され、火山活動を引き起こしていると考えられています。
冒頭の画像では、イオの中央右下に赤みを帯びた色のリングに囲まれた火山「ペレ」が映っており、その右に白っぽい色のリングに囲まれた火山「ピラン・パテラ」が映っています。ペレから噴出し堆積した赤みがかったリングの一部を、ピラン・パテラから噴出した物質が覆っています。ペレは継続的に、一方のピラン・パテラは断続的に噴火を繰り返しており、2つの火山からの噴出物がせめぎ合っていると見られます。
Image Credit: INAF/Large Binocular Telescope Observatory/Georgia State University; IRV-band observations by SHARK-VIS@LBT [P.I. F. Pedichini]; processing by D. Hope, S. Jefferies, G. Li Causi