観測史上最大質量の「接触連星」を発見 180億年後には2つのブラックホールが衝突

発見された接触連星の想像図。イギリス・UCL(ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)とドイツ・ポツダム大学の研究チームはハッブル宇宙望遠鏡やESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡に設置された観測装置MUSEなどで得られたデータを用いて連星のスペクトルを分析し、そのデータをもとに星の視線速度(近づいたり遠ざかったりする速度)だけでなく、星の質量、明るさ、温度、軌道などを計算しました。そしてそれらのパラメータを、連星の進化モデルと照らし合わせました。Image Credit: UCL/J.daSilva
発見された接触連星の想像図。イギリス・UCL(ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)とドイツ・ポツダム大学の研究チームはハッブル宇宙望遠鏡やESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)に設置された観測装置MUSEなどで得られたデータを用いて連星のスペクトルを分析し、そのデータをもとに星の視線速度(近づいたり遠ざかったりする速度)だけでなく、星の質量、明るさ、温度、軌道などを計算しました。そしてそれらのパラメータを、連星の進化モデルと照らし合わせました。Image Credit: UCL/J.daSilva

2つの恒星の表面が触れ合うほど接近している連星は「接触連星」と呼ばれます。小マゼラン銀河で、これまで発見された中で最も大質量の接触連星が発見されました。

連星の一方は太陽の32倍の質量、もう一方は太陽の55倍の質量があります。その連星は3日間で互いのまわりを周回しています。また接触しながら互いに物質を交換しており、現在は大きい方の星がもう一方の星の外層を剥ぎ取っているとのこと。

研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡などの観測データから連星のスペクトルを分析。観測結果を連星の進化モデルと比較したところ、外層を剥ぎ取られている小さい方の星がまずブラックホールとなり、その後、生き残った大きな星のガスを剥ぎ取ることがわかりました。大きい方の星も、遠からずブラックホールになります。

互いを周回する2つのブラックホールは、重力波を放出しながら少しずつ接近していき、180億年後に衝突・合体するとのことです。

(参照)UCL News