月の「海」 | アストロピクス

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月の「海」

月の表面には、明るく見えるところと暗く見えるところがあります。日本では、月面に見られる明暗の模様は「うさぎの餅つき」のようだと昔から言われてきました。

月面の暗く見えるところは「海」や「入江」などと呼ばれ、冒頭の画像のように地域ごとに「晴の海」「雨の海」「静かの海」などと名前がつけられています。一方、明るく見えるところは「高地」と呼ばれます。

「海」といっても水があるわけではありません。月の「海」は、かつてクレーター内に溶岩が流れ出して固まったところです。黒っぽい玄武岩でできているために暗く見えます。「高地」は白っぽい斜長岩でできているために明るく見えます。

「高地」には隕石衝突によってできたクレーターが多く見られます。一方「海」には、「高地」と比べるとクレーターはあまり多くありません。「海」ではもともとあったクレーターが溶岩によって覆われてしまい見えなくなり、それより後に起きた隕石衝突によるクレーターだけが残っているためです。

なお冒頭の画像には月の「海」「入江」の中で、地球から比較的見やすいものだけを示しています。また、主なクレーターをいくつか示してあります。

Image Credit: NASA's Scientific Visualization Studio

(参照)USGS