アンドロメダ銀河の外れで非常にかすかな超低光度矮小銀河が発見されました。「ペガススV」と呼ばれるその矮小銀河には重い元素がほとんど含まれておらず、宇宙初期の古い銀河の化石である可能性が高いことが判明しました。
この矮小銀河はまず、アンドロメダ銀河に付随する矮小銀河の調査のなかで、アマチュア天文家によってアーカイブデータから発見されました。
そのとき発見されたのは画像の「染み」のようなものでしたが、その後、ハワイにある口径8.1mのジェミニ北望遠鏡の多天体分光装置GMOSによる観測によって暗い星が存在することがわかり、アンドロメダ銀河の外れにある超低光度矮小銀河であることが確認されました。
ペガススVには重元素が非常に少ない
ジェミニ望遠鏡の観測から、この銀河は同様の矮小銀河と比べて重元素が極端に少ないように見えることが明らかになりました。このことは、ペガススVが非常に古い銀河で、宇宙初期の銀河の化石である可能性が高いことを示しています。
宇宙のはじまりのビッグバンの直後には、水素やヘリウムなど軽い元素しかありませんでした。最初の星は水素とヘリウムから形成され、それらの星の中心部での核融合反応や超新星爆発などによって重元素が作られてばら撒かれ、次世代の星の材料となります。新しい銀河ほど重元素の量が多くなるのですが、ペガススVには重元素が少なかったのです。
ペガススVのような非常に暗い銀河はたくさん存在すると見られていますが、理論的に予測されるほど多くの銀河は発見されていません。このような銀河が本当に少ないとしたら、宇宙論や暗黒物質に関する理解に重大な問題が生じる可能性があります。
今回の発見を報告した論文の主著者であるイギリス、サリー大学のMichelle Collins氏は「ペガススVの化学的特性をさらに研究することで、宇宙で星が形成された最初期の時代についての手がかりが得られるでしょう」と語っています。「初期宇宙からのこの小さな化石銀河は、銀河がどのように形成されるのか、またダークマターに関する私たちの理解が正しいのかを理解するのに役立つかもしれません」
Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA
Acknowledgment: Image processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), M. Zamani (NSF’s NOIRLab) & D. de Martin (NSF’s NOIRLab)
(参照)NOIRLab