この画像は、宇宙初期の銀河(オレンジ色)とそのまわりに広がるガス(青)をとらえたものです。銀河はアルマ望遠鏡、ガスはESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLTに設置された観測装置MUSEでとらえられました。
画像に映っている銀河は、宇宙誕生10億年後ごろのものです。銀河の中心には、太陽の数十億倍もの質量を持つ超巨大ブラックホールが存在しています。
ブラックホールは最初からそんなに大きいわけではありません。ブラックホールは星が超新星爆発を起こした後にできます。宇宙誕生からそれほど時間が経過していない時代に超巨大ブラックホールが存在しているということは、星から生まれたブラックホールがガスや塵を大量に吸い込むなどして、短期間のうちに急速に成長したことになります。
しかしこれまでは、急速な成長を説明するのに十分な量のガスと塵が見つかっていませんでした。いわば“ブラックホールの食料”がどこにあるのか分からなかったのです。
MUSEを用いて宇宙初期の31の銀河を調べたところ、12の銀河のまわりで“食料貯蔵庫”が見つかりました。太陽の数十億倍の質量に相当する水素ガスが、銀河中心のブラックホールから10万光年の範囲に広がっているのが発見されたのです。画像で紹介した銀河もそのような銀河の1つです。
Image Credit: ESO/Farina et al.; ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Decarli et al.