
真空では粒子と反粒子が対生成・対消滅を繰り返しています。ブラックホールの事象の地平面近くで対生成が起きると、対消滅が起きずに一方の粒子がブラックホールの中へ引き込まれ、もう一方の粒子がブラックホールの外側へ出ていくことがあります(ホーキング放射)。それによりブラックホールのエネルギーが減少し、やがてブラックホールは蒸発すると考えられています。
オランダ、ラドバウド大学の研究チームは、その過程を再検討し、事象の地平面から離れたところでも生じる可能性があることを示したと発表しました。
研究チームは、時空の曲率が放射の生成に大きな役割を果たしており、事象の地平面自体は必要なく、重力場の潮汐力によって粒子が分離されるとしています。中性子星のような事象の地平面を持たない天体にもこの種の放射があり、また最終的には宇宙のすべてがブラックホールのように蒸発することになるとのことです。【1分で読む宇宙ニュース】
(参照) Radboud University