新技術で超鮮明に映し出された太陽の上層大気コロナ

「コロナ補償光学」と呼ばれる新たなシステムを使い、太陽の上層大気であるコロナの詳細をとらえた動画が公開されました。そのシステムはアメリカ国立太陽天文台(NSO)とニュージャージー工科大学(NJIT)の研究者が開発したものです。

こちらの画像と動画は「コロナレイン」と呼ばれる現象をとらえたものです。上空に到達したプラズマが冷却され凝縮して太陽表面に向かって雨のように落下しています。動画は23分間のタイムラプスで、コロナレインをとらえた史上最高解像度の画像で構成されているとのことです。

こちらはコロナに浮かぶプロミネンス(比較的低温のプラズマ)をとらえたものです。動画は4分間のタイムラプス。右側にはコロナレインも見られます。

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毎秒2200回、連続的に形状を変化させる鏡を使用

今回紹介した画像や動画はいずれも、補償光学システム「Cona」を設置した口径1.6mのグード太陽望遠鏡(GST)でとらえられました。

地上から宇宙の天体を観測すると、地球の大気の影響で画質が低下します。GSTの補償光学システムConaは、そのような大気による画像の劣化を補正するため、毎秒2200回も連続的に形状を変化させる鏡を使用しているとのことです。

太陽望遠鏡での補償光学は、2000年代初頭から太陽表面の観測に利用されてきましたが、コロナの観測には使えませんでした。Conaは、口径1.6mのグード太陽望遠鏡の理論上の限界である63kmの解像度を実現しました。研究チームは現在、ハワイのマウイ島で運用されている口径4mのダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡に、今回の新たな補償光学技術を適用する取り組みをしているとのことです。

(参考記事)史上最高解像度の太陽画像。ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡が撮影

Credit: Schmidt et al./NJIT/NSO/AURA/NSF

(参照)NJITNSO