2019年10月ごろから2020年4月ごろにかけて暗くなったことが話題になったオリオン座の1等星ベテルギウス。ベテルギウスは年老いて膨らんだ「赤色超巨星」と呼ばれる段階にあります。そのベテルギウスに関して、新しい研究が発表されました。
オーストラリア国立大学などの国際的な研究チームは、流体力学や星震学のモデルを使いベテルギウスの脈動を分析した結果、ベテルギウスの大きさや地球からの距離が明らかになったとしています。
ベテルギウスは太陽系と比較すると木星軌道より大きいことが示唆されていました。しかし今回の研究ではベテルギウスの大きさは太陽の半径の750倍ほどで、木星軌道の3分の2ほどであることが明らかになったとのことです。
またベテルギウスの大きさをもとに、地球からの距離が530光年と見積もられました。この距離は、これまで考えられてきたよりも25%ほど近い値になっています。ただ近いとはいってもまだ十分に距離があるため、超新星爆発が起きたとしても地球に大きな影響はないようです。
なおベテルギウスが暗くなった際に、超新星爆発の前兆か? などと言われることもありました。研究チームによると、ベテルギウスでは現在、中心核でヘリウムの核融合反応が起きており、超新星爆発が起きるまでには10万年ほどかかるのではないかとのことです。
Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO) /E. O’Gorman/P. Kervella