すばる望遠鏡によって2018年に発見された天体が、太陽-地球間の約132倍の距離(132天文単位)にあることが分かりました。発見時の距離としては、太陽系で最も遠い天体です。
「ファーファーアウト(Farfarout)」という愛称を付けられたこの天体は、2018年にすばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)で発見されたのち、ジェミニ北望遠鏡やマゼラン望遠鏡などによる数年間にわたる追観測で軌道が求められました。これまでの最遠記録は、同じ研究チームによって発見され「ファーアウト(Farout)」という愛称で呼ばれている2018 VG18の124天文単位でした。
ファーファーアウトの公転軌道は細長い楕円で、遠日点(太陽から最も離れる位置)は約175天文単位、近日点(太陽に最も近づく位置)は約27天文単位です。海王星の太陽からの平均距離は約30天文単位ですから、近日点では海王星軌道の内側に入ることになります。太陽を1周するのに1000年ほどかかります。
研究チームでは、かつて海王星の重力の影響ではじき出され、現在のような細長い楕円軌道に変化したのではないかと推測しています。ファーファーアウトと海王星の軌道は交差しているため、今後再び相互作用する可能性が高いと見られています。
研究チームではまた、明るさや距離、そして氷を多く含むとの仮定から、ファーファーアウトの直径を400kmと見積もっています。これは準惑星に指定されうる下限に近い大きさです。
ファーファーアウトは、国際天文学連合(IAU)小惑星センターによって「2018 AG37」という仮符号が与えられました。今後数年間にわたりさらなる観測を行い、軌道がより正確に求められてから、正式な名称が与えられることになります。