この画像は、新しい電波望遠鏡システムを使って試験的に観測された月面の様子です。1971年にアポロ15号が着陸した地域の周辺が映っています。
蛇行した溝が見えていますが、これは「ハドレー・リル(Hadley Rille)」と呼ばれる地形です。かつての火山活動の痕跡で、おそらく溶岩チューブが崩壊してできたものと見られています。画像上の方、リルに隣接して「ハドレーC」と呼ばれる直径6kmのクレーターが見えています。オリジナル画像の解像度は5mほどです。
アメリカ、グリーンバンク天文台にある口径100mの電波望遠鏡に、レイセオン・インテリジェンス&スペース社が開発した新しい送信機を設置して月面に電波を発射。NRAO(アメリカ国立電波天文台)のVLBA(超長基線電波干渉計)で受信した月面からの反射波のデータをもとに画像が生成されました。
今回の試験観測から得られた情報をもとに、今後はさらに高出力レーダーシステムを開発し、太陽系の天体をこれまでになく詳細かつ高感度で撮像する計画が進めらることになります。また性能が向上すれば、天王星や海王星などといった遠方でもレーダー信号を利用できるようになるとのことです。
(参照)NRAO