
この画像に映っているのは、「らせん星雲」と呼ばれる惑星状星雲のクローズアップです。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がNIRCam(近赤外線カメラ)で撮影しました。
惑星状星雲は、太陽程度の質量の星の晩年の姿です。太陽の0.8〜8倍の質量の恒星は、核融合反応の燃料の水素を使い果たすと膨らんで赤色巨星になります。やがて赤色巨星の外層のガスが放出されて広がっていき、中心に星の“芯”が残されます。その星の“芯”からの紫外線が、周囲のガスを電離させて輝く天体が惑星状星雲です。星の“芯”はやがて白色矮星になります。
らせん星雲は、みずがめ座の方向、地球から650光年の距離にあり、地球に最も近い惑星状星雲の一つです。これまで地上や宇宙にあるさまざまな望遠鏡で観測されてきました。ウェッブ望遠鏡は、これまでになく鮮明に、らせん星雲のようすをとらえることに成功しました。
星雲のガスの殻の内部をとらえた

こちらは左が地上の望遠鏡(ESO[ヨーロッパ南天天文台]パラナル天文台のVISTA望遠鏡)でとらえたらせん星雲の全体像で、ウェッブ望遠鏡の画像(右)の範囲を白枠で示しています。この画像から分かるように、ウェッブ望遠鏡の画像は、らせん星雲のガスの殻の内部をとらえたものです。
そこでは中心の白色矮星から噴き出す灼熱のガスの流れが、周囲に広がった冷たい塵とガスの殻に衝突し、数多くの彗星のような形の構造を形成しています。ウェッブの画像に映る領域では、星雲の外側(冒頭の画像では下側)に行くほど温度が低くなっています。中心に近いところでは高温の電離したガスがあり、その外側では分子状水素となっています。さらに外側の画像の端付近では塵が形成されています。
ハッブル、スピッツァー望遠鏡の画像との比較
こちらの動画は、ウェッブ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡、スピッツァー宇宙望遠鏡の画像を比較したもの。スピッツァー望遠鏡は2020年1月に運用を終了したNASA(アメリカ航空宇宙局)の赤外線宇宙望遠鏡です。
(参考)
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Image Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, A. Pagan (STScI)

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