
この画像に映っているのは、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた銀河NGC 2775です。NGC 2775は、かに座の方向、地球から6700万光年離れたところにあります。
NGC 2775は、なめらかで特徴がなくガスのない中心部をもっているところは、楕円銀河に似ています。一方で、星団がまだら状にみられる塵の多い円盤が周囲を取り巻いており、渦巻銀河のようでもあります。
渦巻銀河? レンズ状銀河? 特定は難しい
画像を紹介しているハッブル望遠鏡のウェブページによると、地球からは1方向からしか観測できないため、NGC 2775がどのタイプの銀河なのかを特定するのは困難で、渦巻銀河に分類する研究者もいれば、レンズ状銀河に分類する研究者もいるとのことです。レンズ状銀河とは、渦巻銀河と楕円銀河の両方の特徴をもつ銀河のことです。
レンズ状銀河がどのように形成されるのかは、はっきりとはわかっていません。レンズ状銀河は、渦巻銀河がほかの銀河と合体したり、星形成ガスのほとんどが枯渇して渦状腕が目立たなくなったりした結果、形成されたのかもしれません。あるいはもともと楕円銀河に似た銀河が、あとから周囲にガスを集めて円盤を形成したのかもしれません。
NGC 2775は、かつてほかの銀河と合体した可能性があります。この画像には映っていませんが、銀河の周囲には10万光年にわたって伸びる水素ガスの尾が存在しています。この尾は、NGC 2775に近づきすぎた銀河の残骸である可能性があります。NGC 2775が過去にほかの銀河と合体していたとすれば、現在の奇妙な外観を説明できるかもしれないとのことです。
画像は「今週の1枚(Picture of the Week)」として、ハッブル望遠鏡のウェブページで2025年9月22日に公開されました。
(参考)
「ハッブル今週の1枚」記事一覧
羽毛のような渦状腕を持つ銀河NGC 2775 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, F. Belfiore, J. Lee and the PHANGS-HST Team
(参照)ESA/Hubble