
この写真には、南米チリ、セロ・パラナルの山頂付近が映っています。山頂にはESOパラナル天文台のVLT(超大型望遠鏡)があり、そこから空に伸びるレーザー光がオレンジ色に見えています。
地上から観測すると、大気によって天体の像がゆらぎます。VLTや日本のすばる望遠鏡などの望遠鏡では、そのゆらぎを抑えるため「補償光学」という技術が使われています。レーザー光によって高度90〜110kmにあるナトリウム原子を励起させて光らせることで人工の星を作り出します。その人工星をもとに大気のゆらぎの影響を測定し、それを打ち消すように鏡を制御することで、非常に鮮明な像を得ることができるのです。
空には、そのレーザー光と交差するように、青白くぼんやりとした光が地平線から広がっています。その光は「黄道光」と呼ばれるもので、黄道面(地球の公転軌道面)に漂う惑星間塵が、太陽光を散乱して淡く輝いています。青い光の方が赤い光よりも散乱しやすいため、やや青みを帯びて見えています。
画像はESOが2025年9月1日に「今週の1枚(Picture of the Week)」として公開したものです。
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Image Credit: G. Doyen/ESO
(参照)ESO