
この画像はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がNIRCam(近赤外線カメラ)とらえたもので、惑星状星雲NGC 6072が映っています。さそり座の方向、地球から約3300光年の距離にあります。
惑星状星雲は、太陽程度の質量の恒星の最期の姿です。太陽程度の質量の星は年老いると膨らんで赤色巨星になります。やがて赤色巨星の外層のガスが宇宙空間へ広がっていきます。その広がったガスが、中心に残された星の「芯」からの紫外線によって電離して輝くのが惑星状星雲です。
多くの惑星状星雲は円形や楕円形、あるいはガスが両極方向へ広がる双極星雲の形をしていますが、中にはこの画像に映るNGC 6072のように複雑な形状をしたものもあります。NGC 6072の中心には少なくとも2つの星が存在し、すでに外層のガスや塵の一部を放出し始めている年老いた星と、その伴星が相互作用しているとみられています。
NGC 6072をとらえたこの画像では、ガスと塵からなる物質がオレンジ色に見えています。星雲の中心領域では高温の星の「芯」が輝いており、淡い青色に見えています。
中間赤外線の画像では同心円状のリングが見えた

こちらはウェッブ望遠鏡のMIRI(中間赤外線装置)で撮影されたものです。この画像では塵が際立っており、星雲の中心星ではないかと思われる天体が、ピンクがかった白っぽい小さな点として見えています。中間赤外線による観測ではまた、同心円状のリング構造も明らかになりました。星雲の外縁付近を取り囲むリング構造が最も目立っています。このことも、中心星に伴星があることを示唆しているとのことです。
画像は2025年7月30日に、ウェッブ望遠鏡のウェブページで公開されました。
(参考)
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こちらはNIRCamの画像について、視点が上から下へと移動していく映像です。
こちらはMIRIの画像について、視点が下から上へと移動していく映像です。
Image Credit: NASA, ESA, CSA, STScI