これまでで最も高解像度の太陽表面の画像が公開されました。上の画像は、ハワイ、マウイ島のハレアカラ山頂近くにある、NSF(全米科学財団)のダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡(Daniel K. Inouye Solar Telescope : DKIST)のファーストライトの画像です。DKISTは口径が4mある世界最大の太陽望遠鏡です。
上の画像は3万6500km四方の範囲が映し出されています。画像に映っている細胞のような粒状の模様は「粒状斑」と呼ばれます。粒状斑では対流が起きており、中央の明るい部分で高温のプラズマが上昇し、太陽表面で冷やされて暗い筋のところで沈んでいます。1つ1つの粒状斑は1000kmオーダーの大きさがあります。
大きさの比較のため、地球の画像(赤道半径6371km)を重ねてみました。粒状斑がかなり大きいことが分かります。
こちらは冒頭の画像の一部をクローズアップした画像です。8200km四方の範囲が映し出されています。
Image Credit: NSO/NSF/AURA
同時に公開されたこれらの動画では、粒状斑での対流のようすを見ることができます。1つ目の動画は3万6500×3万6500kmの範囲が、2つ目の動画は1万9000x1万700kmの範囲が映っています。
なおDKISTの名称は、ハワイ州出身の元上院議員、故ダニエル・K・イノウエ氏にちなんで名付けられたものです。計画は30年近く前から始まり、実際の建設は2010年から始まりました。2013年12月に「Advanced Technology Solar Telescope」から「Daniel K. Inouye Solar Telescope」へと名称が変更されました。DKISTは2060年代まで、太陽周期11年の4周期分の期間、稼働することが期待されています。
ちなみに「ダニエル・K・イノウエ」の名は、2017年4月からオアフ島の国際空港(旧名称ホノルル国際空港)の名称としても使われています。
現在、NASA(アメリカ航空宇宙局)のパーカー・ソーラー・プローブが太陽を周回しています。ESA(ヨーロッパ宇宙機関)とNASAのソーラー・オービターもまもなく打ち上げ予定です。DKISTでは、それらの衛星とも連携していくとのことです。
https://www.nso.edu/press-release/inouye-solar-telescope-first-light/