赤色巨星と白色矮星の連星が織りなす「みずがめ座R星」 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影

この画像には、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた「みずがめ座R星」が映っています。みずがめ座R星は地球から約700光年離れたところにある、「共生星」と呼ばれるタイプの連星です。主星は膨張した赤色巨星で、そのまわりを白色矮星の伴星が回っています。

主星である赤色巨星は太陽の400倍以上の大きさがあります。ミラ型変光星に分類されており、脈動して温度が変化し、約390日の周期で750倍も明るさが変化します。ピーク時には太陽の約5000倍の明るさで輝きます。

伴星の白色矮星は、44年周期で主星に最も近づくと、重力によって赤色巨星から水素ガスを吸い上げます。ガスは白色矮星の表面に蓄積して核融合反応が起こり爆発します。

爆発によりガスのフィラメントが放出されます。フィラメントは、みずがめ座R星からの強烈な放射によってエネルギーを与えられて可視光で輝きます。連星を取り巻く星雲は「Cederblad 211」として知られています。Cederblad 211は、かつての新星爆発の残骸かもしれません。

この動画には、みずがめ座R星の2014年から2023年までの間に撮影された5枚の画像が収められています。動画に映っているのは、冒頭の画像の中心付近です。赤色巨星の脈動によって時間とともに連星の明るさが変化しており、またかつて放出された物質との相互作用により、中央の構造が螺旋状に外側へ広がっているようすが見られます。

(参考記事)ハッブルとチャンドラが捉えた「みずがめ座R星」

Image Credit: NASA, ESA, M. Stute, M. Karovska, D. de Martin & M. Zamani (ESA/Hubble)

(参照)ESA/HubbleHubblesite