みなみのうお座の1等星フォーマルハウトを、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した最新画像が公開されました。そこにはこれまでとらえられたことのなかった、同心円状の複数の塵の環が映し出されていました。
フォーマルハウトは、地球から約25光年の距離にある4億歳ほどの若い恒星です。これまでハッブル宇宙望遠鏡やアルマ望遠鏡によっていちばん外側の環がとらえられたことはありますが、ウェッブ望遠鏡は恒星に近い内側の領域を詳細に撮影しました。画像はウェッブ望遠鏡のMIRI(中間赤外線装置)で撮影したもので、温かい塵が映っています。
3つの環(円盤)が入れ子状に存在
ウェッブ望遠鏡の画像には、恒星から約230億kmの範囲に、3つの環(円盤)が入れ子状に存在しているのが映っています。230億kmは、太陽〜地球間の距離(=1天文単位)の約150倍に相当します。最も外側の環は、太陽系で海王星以遠にあるエッジワース・カイパーベルトの2倍ほどの距離のところにあります。
塵の環は、小惑星や彗星のようなより大きな天体の衝突によってできた破片からなり、「デブリ円盤(残骸円盤)」と呼ばれます。これらの塵の環は、まだ見つかっていない惑星の重力が、形成に関与している可能性が高いとみられています。
ウェッブ望遠鏡の画像には、最も外側の塵の環の中に塵の雲のようなものが映っていいました。これは2つの氷天体が衝突してできた非常に細かい塵の雲である可能性があります。
Image Credit: NASA, ESA, CSA, A. Pagan (STScI), A. Gáspár (University of Arizona)
(参考記事)フォーマルハウトの「惑星」が消えた!?