太陽系外縁天体の準惑星クワオアーにリングを発見! リング形成論にも一石!?

太陽系外縁天体である準惑星クワオアー(Quaoar)にリングがあることが発見されました。クワオアーは、海王星以遠を公転する準惑星で、冥王星の半分ほどの大きさ(半径は推定555km)があり、衛星ウェイウォット(Weywot)が存在することが知られています。

クワオアーとリングの想像図。左には衛星ウェイウォットが描かれています。
クワオアーとリングの想像図。左には衛星ウェイウォットが描かれています。

観測はイギリス、シェフィールド大学の研究者などからなる国政的な研究チームが、スペイン領カナリア諸島のラパルマ島にある口径10.4mのカナリー大型望遠鏡に搭載された超高感度高速カメラHiPERCAMなどを使って行いました。ただリングは非常に小さくてかすかなため、リングの画像を直接撮影したわけではありません。遠方の恒星の手前をクワオアーが通過する際の掩蔽観測によってリングが発見されました。クワオアーが恒星の手前を通過する前後に2度、予想外に暗くなったのです。

太陽系の天体の中でリングといえば土星が最も有名です。ただリングをもつ天体は少なく、これまで知られていたのは土星と木星、天王星、海王星といった4つの巨大惑星と、太陽系外縁天体の準惑星ハウメア、そして先日リングの発見が発表されたばかりの小惑星カリクロの6つだけでした。

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リングでいられないはずのところに存在していた

今回発見されたクワオアーのリングは、天体の半径の7倍以上の距離にあることで注目されています。

比較的大きな天体には、接近する天体が潮汐力によって破壊されてしまう限界(ロッシュ限界)があります。クワオアーのリングは、そのロッシュ限界をはるかにこえたところに存在しています。このことは、リング形成の理論に疑問を投げかけるかたちとなっています。ロシュ限界を超えたリングは、数十年のうちに合体して衛星になると考えられているからです。極寒の温度環境が氷粒子がくっつくのを防ぐ役割を果たしている可能性が示唆されていますが、さらなる調査が必要です。

Image Credit: ESA, CC BY-SA 3.0 IGO

(参照)University of SheffieldESA